2月13日は福岡県久留米市の聖マリア学院で行われた講演会に行きました。
日本学術振興会のリサーチ・フェローシップにより、東日本大震災に関するリサーチで来日されている元米国 FEMA(Federal Emergency Management Agency: 連邦緊急事態管理庁)職員で危機管理専門家の Leo Bosner 先生と、聖マリア学院大学の客員教授で大学院の講義のために来日されている米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention: 疾病予防管理センター)のTimothy M. Uyeki 副長官のお二人というかなり豪華な講師陣でした。
Bosner先生は『災害危機管理について 地方自治体における災害準備・応急対応について』のお話でした。
災害時の初動対応は「地元」関係者となるため、地域自治体が災害計画をつくる際には行政や消防、医療機関などと検討、シミュレーション、再修正が必要とのことでした。
ハリケーンカトリーナのとき、最も問題になったのは、事前の「非現実的な計画」と「関係組織同士の調整の欠如」だったそうです。
災害計画は、「組織」ではなく「役割」で考えるというお話も印象的でした。
組織で考えると縦割り的な考え方になってしまい、「役割」で考えると横の連携も広がる、ということだと思います。
組織で考えると縦割り的な考え方になってしまい、「役割」で考えると横の連携も広がる、ということだと思います。
また米国FEMAは「災害対策ガイドブック」を作成し、それをもとに州や各自治体が災害計画を立てるため、基本となる考え方は共通するそうです。
一方、日本ではそういうガイドブックはないとのこと…
一方、日本ではそういうガイドブックはないとのこと…
FEMAなど専門機関の職員は異動がなく数十年同じ部署で働くため専門家が育ちますが、日本の行政は数年で異動があり専門家が育たないという問題点も指摘されていました…
Uyeki先生は『感染症対策について:世界のインフルエンザ動向と対策』についてのお話でした。新型インフルエンザ(H1N1pdm09)が2009年に流行したときの米国CDCやWHOの対策を時系列にお話していただき臨場感あふれる講演でした。
当時、米国では当初「豚肉産業」が「豚インフルエンザ」と呼ぶことで、豚肉の売り上げ低下を懸念し圧力があったそうです。
ある東南アジアの国でも「鳥インフルエンザ」を巡って、農林水産省的な役所と厚労省的な役所のせめぎ合いがあり、必ずしも関係省庁の連携は取れていないとのこと。トホホ。
また米国でも経済情況による、CDCへの予算削減もあるとのことでした。
今後も新たな型(鳥インフルエンザや豚インフルエンザ)が流行する可能性があり、サーベイランスの重要性を訴えられていました。
今後も新たな型(鳥インフルエンザや豚インフルエンザ)が流行する可能性があり、サーベイランスの重要性を訴えられていました。
つねに2m以上ひとから離れて暮らすのは難しいので、みなさん毎年ワクチンは受けましょう(笑)
2つの講演に共通するキーワードは「コミュニケーション」でした。
災害や医療に限らず、今後の社会におけるコミュニケーションの重要性は様々な分野でいえることだと思います。
災害や医療に限らず、今後の社会におけるコミュニケーションの重要性は様々な分野でいえることだと思います。
講演会のあとには、それぞれの先生と個人的にお話もできて(連絡先も教えていただき)とても有意義な時間でした。
聖マリア学院、聖マリア病院の皆様にも感謝いたします。
(総合内科部門 坂西雄太)
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