2012年10月2日

佐賀県高等学校保健会養護教諭一日研修会


925日は佐賀県高等学校保健会養護教諭一日研修会でお話をさせていただきました。今回の研修会のテーマが「学校における予防医学と養護教諭の役割」とのこともあり、僕は(毎度ですが)『子どもたちとみんなを守るワクチンのお話』をしました。

風疹が流行っていること(とくに20~30代の成人で流行しています!)と、今年度いっぱいで中学一年生と高校三年生を対象としたMR(麻しん風しん)ワクチンの2回目の定期接種が終わってしまうので、まずはそのお話をしました。

これらの学年に該当する年齢のひとは「定期接種」としての2回目の接種が来年3月いっぱいで終わってしまうので、まだ2回目をしていないひとはぜひ、してほしいです。

MRワクチンで子どもたち自身を守るのはもちろん、風疹の抗体がない妊婦さんの風疹初感染で胎児に影響が出ることがある先天性風疹症候群を防ぐためにも風疹に対して集団の免疫を高める必要があります。

日本の風疹ワクチンの歴史からは、今年度34歳以上の男性は一回も風疹ワクチンを打っていない(任意接種していない限り)ので、風疹にかかったことがないこの年代の男性も、(結婚していなくても)周りの妊婦さんに感染させないためにもMRワクチン接種が必要です。

また、B型肝炎ワクチンのお話もしました。B型肝炎ウイルスは母子感染以外でも、唾液や涙などの体液にもウイルスが存在するため父子感染や性行為感染も起こします。世界的には定期接種として赤ちゃんのときにB型肝炎ワクチンを打ちますが、日本ではお母さんがB型肝炎キャリアでない場合は任意接種になります。
感染予防のためには全ての赤ちゃんにB型肝炎ワクチンを接種することが大事ですが、性行為感染症としては思春期や成人でのB型肝炎ワクチンも大切です。
これは医療者に限らず、B型肝炎にかかったことがない方にはワクチン接種が大切です。

佐賀県では二年前まで独自に特別支援学校の教員はB型肝炎ワクチンをしていたそうですが、残念ながらいまはその制度はないそうです。佐賀県はB型、C型肝炎ともに多い県なので教育機関でもワクチン接種が必要なのではないかと思います。

ほかにHPV(いわゆる「子宮頸がんワクチン」)、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜワクチンのお話もしました。
おたふくかぜにかかると5001000人に一人の確率で治らない難聴になってしまいます。この予防のためにもワクチンは大切です。このことを初めて知ったという方もおられたので、お話して良かったと思いました。

ほかには、高校生にはこれからは自分の健康は自分で守るという意識付けのためにも、ぜひ母子手帳を自分で管理してもらうことも提案しました。

養護教諭の先生方と今までゆっくりお話する機会がなかったので、今回このような機会をいただけてとても嬉しかったです。

これからも佐賀県内の関係者で交流していければと思います!
(総合内科部門 坂西雄太)

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