2011年6月22日

第4回ざっくばらん家庭医療勉強会に参加しました

6月18日(土)に長崎大学病院で開催された、第4回ざっくばらん家庭医療勉強会(第2回学生・研修医のためのプライマリ・ケアの集い併催)に参加しました。

ざっくばらん家庭医療勉強会は、学生団体の九州家庭医療ネットワークが主体となり、様々な医療機関の医師もサポーターとして参加しています。

今回は、長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構の先生方が主催され、家庭医療、プライマリ・ケアに役立ついろんなレクチャーがありました。以下、かんたんにその内容をご紹介します。


『診療所で使える捻挫や骨折の処置』
(宮本俊之先生(長崎大学病院整形外科)

足の捻挫についてのレクチャーのあと、実際にRICE(Rest, Icing, Compression, Elevation)をしてみようということでIcingの実習がありました。いままでIcingの重要性はわかっているつもりでしたが、具体的な冷却法を教えていただいたのは初めてだったので、とてもためになりました。また早めに整形外科医に紹介すべき所見も教えていただきました。


『ハンマーを使わない神経診察』 
(中桶了太先生 長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構)

病歴だけで、神経疾患の60-70%が診断可能だということで、神経疾患の鑑別に役立つ問診や診察のポイントを教えていただきました。また、高齢者の診察では「難聴」のため医師の指示どおりにできないこともあるので注意とのことでした。


『離島医療』 
(有吉靖先生 佐賀医大OB)

長崎の離島である宇久島(人口2800人、佐世保まで船で2時間半)の診療所(佐世保市立総合病院宇久診療所)で医師をされている有吉先生のお話でした。
有吉先生は佐賀大学医学部(当時の佐賀医科大学)の大先輩で、卒業後から離島医療をするために、まず6年間の研修をされた後に離島に移られ、さらに卒後13年目より6年間、再度研修(形成外科、産婦人科なども)され、現在に至るというすごい先生でした。
また宇久島では保健師さんと連携し、予防接種にも力を入れているとのことでした。有吉先生の宇久島への愛情や「離島だからできること」「3日先の波風まで把握している」という言葉も印象的でした。

『在宅医療はどこまでやれるのか(終の棲家を求めて)』
(松尾誠司先生 長崎宝在宅医療クリニック)

松尾先生は在宅医療を専門でされ、とくに癌の終末期の方の在宅ケアをされています。
基本的には医師は1名で24時間対応され、年間に80名ほどの方々を在宅でお看取りされており、めちゃめちゃ気合いが入った先生でした。
もちろん訪問看護師さんの働きも大きく、訪問薬剤師との連携も取っておられます。また家族のグリーフケアもされています。
「在宅の看取りを通して、家族がまとまる」という言葉から患者さん本人だけでなく、ご家族の歴史や想いまでも含めたケアをされていることが印象的でした。また在宅医療の現場でも「仲間づくり」の大切を訴えておられました。


『症例検討会1』
(江口幸士郎先生 唐津市民病院きたはた)

症例をとおして「高齢者虐待」の問題をとりあげられました。虐待を疑った場合の対処の仕方や「介入の主眼は処罰ではなく、あくまで支援」というが印象的でした。


『症例検討会2』
(吉田伸先生 飯塚・頴田家庭医療プログラム後期研修医)

「クイズでケース 膝痛の診療」ということで、膝痛の患者さんの症例をもとに膝の診察のポイントを教えていただきました。

症例検討会では参加者が各自のケータイから、回答する形式で瞬時にどの解答を選らんだという選択率がわかるシステムで、楽しみながら症例検討に参加することができました。


『PCAT報告』 
症例検討1をされた江口先生、飯塚病院の茂木先生と僕の3人で合同報告をしました。

たまたま3人それぞれが5月下旬から6月上旬にかけて、日本プライマリ・ケア連合学会の東日本大震災支援プロジェクト(PCAT)で石巻に行ってきました。
同じ石巻ではあったのですが、それぞれ担当業務が違ったので、江口先生が「福祉的避難所(遊学館)について」、茂木先生が「在宅診療支援について」、僕が「医療的避難所(ショートステイベース、SSB)」についての報告をしました。

僕らの報告を聞いて、その後、長崎大学医学部の5年生がPCAT参加を申し込んでくれたとのことでした。
西日本の僕らも何らかの形で東北の震災支援を続けていきたいと思います。

勉強会終了後には、場所を移して恒例の懇親会がありました。参加された医師や他大学の学生さんとのお話ができて楽しかったです!

今回もいろいろな施設の先生方のお話を聞くことができ、また学生さんの参加も多く、今回は宮崎大学からの参加もあり、プライマリ・ケアのネットワークがだんだん広がってきています。
『オール九州』を目指して、これからも施設を超えた交流を続けていきたいと思います。

(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月20日

佐賀大学病院 総合診療部 医局説明会(地域医療支援学講座 総合内科医育成プログラム説明会併催)のご案内

そろそろ医局説明会の季節になってきました。
下記の日程で佐賀大学病院 総合診療部の医局説明会が開催されるのでご案内します。
その説明会のなかで、当講座の後期研修プログラムである「総合内科医育成プログラム」についても説明をさせていただきます。
対象は初期研修医としていますが、医学生ももちろん大歓迎です。

もちろん、その後の懇親会にも当講座教員も参加いたします!


以下、総合診療部からのご案内です。

専門診療が発展した現代ほど、地域から実力のあるプライマリ・ケア医(良医)を要望する声が多くなっています。
佐賀大学総合診療部は、将来プライマリ・ケアに関わる家庭医療、地域医療、総合診療に進みたいと考えている医師を大事に育成してきました。
日本ではまだまだ現場の医師は不足しています。私達は多くの若い皆さんがプライマリ・ケアの領域に進むことを希望しています。
総合診療部はそのような熱意ある医師を育て、応援するための教育、研究をする部門です。

興味のある方は、是非ご参加下さい!



日時:2011年6月24日(金) 18時30分より

場所:佐賀大学病院 総合診療部医師室(病院2階)

当日説明会の後に、食事会を予定しています。(20時頃より)

関連病院で勤務中の先生方にも参加していただく予定ですので、大学病院以外のお話などもできるかと思います。是非、気軽に遊びに来てください。

ご参加のご連絡、不明な点などがありましたら以下の連絡先まで。

連絡先 総合診療部医局 0952-34-3238

(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月17日

PCAT参加報告会をしました

おととい、PCAT(日本プライマリ・ケア連合学会 東日本大震災支援プロジェクト)に参加した報告会を院内で行いました。

自分が石巻に行ったのは、ほんの1週間で、関わったことも石巻圏全体のほんのごくわずかですが、「実感」したことを少しでもお伝えできていたら、と思います。

6月10日付けの報道などでは、避難所生活者は約9万人(宮城県:2万3千人、岩手県:2万1千人、福島県:2万3千人)もおられます。

また6月9日付けの厚労省の発表では、被災7県の仮設住宅の入居数:1万2077戸(宮城県:5917戸、岩手:3774戸、福島:2112戸、全完成数2万7572戸、入居率43.8%)だそうです。

いまの梅雨、そして夏を避難所で迎える方々を思うと心が痛みます。

石巻では、避難所で万年床となっている布団を干す(乾燥させる)プロジェクト「石巻ダニバスターズ」(石巻災害復興支援協議会、専修大学ボランティアセンターなどの共同)があります。

協議会の「ダニバスターズ」紹介ブログはこちらを。

布団乾燥機や発電器、燃料などにも資金が必要ですので、募金のご協力もお願いいたします!

義援金振り込み先
口座名義:石巻災害復興支援協議会 会長 伊藤秀樹
石巻信用金庫 向陽支店(店番号007) 普通口座 6230229
こちらもご参照ください)


石巻に限らず、被災地には本当にまだまだ長期のサポートが必要です。
それぞれが自分にできること、をしつづけましょう。
(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月8日

佐賀大学の「病児・病後児保育」の子育て支援&手足口病

佐賀大学病院には「病児・病後児保育」の子育て支援サービスがあります。


このサービスは、佐賀大学の女性研究者支援室「かささぎサポート・ラボ」が担当されています。
利用対象者は、佐賀大学教職員、大学院生、学部生が保護者であり佐賀大学病院まで送迎可能な保護者の幼児(就学前まで)です。

看護師、保健師資格を持った育児コーディネーターの方が担当してくださいます。

定員2名までとなっています。支援時間は平日の午前8:30~午後5:15となっています。

病院敷地内の「子どもの杜保育園」に併設して保育室があり、希望時は1食300円で保育園の給食を頼むこともできます。

詳細はこちらをご覧ください。

また、佐賀県女性医師等就労支援事業SAGAJOYのホームページもご覧ください!


で、実は昨日と本日、僕の娘二人(3歳&1歳)がこの病児保育にお世話になりました。

今年度から奥さんも佐賀大学病院で仕事を始めた、夫婦共働きの我が家にとっては、病児保育は本当に助かります。

娘たちは熱はあるものの元気は元気で「なんらかのウイルス性感冒だろう」なんて思っていたら、
さらに熱が上がり、保育室で預かっている時間帯に大学病院の小児科を受診させてもらい、
小児科の先生より咽頭に水疱もあり「手足口病」と診断していただきました。
そういえば、朝からチビの口の周りに発疹がありました…


せっかくなので(笑)、学生さん向けに「手足口病」について簡単に解説します。

「手足口病」はコクサッキーA16(CA16)、CA10やエンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルスによる感染症で、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性発疹を主症状として、幼児を中心夏に流行します。

潜伏期は3~5日。発熱は1/3に見られるが軽度で38℃以下のことがほとんど。水疱は3~7日で消退し、水疱が痂疲を形成することはない(へ~)。稀に髄膜炎など中枢神経系合併症や心筋炎などを生じることがある。とくにEV71は中枢神経系合併症に注意する。学校で予防すべき伝染病1~3種には含まれていない。

(参考:国立感染症研究所感染症情報センターHP「手足口病」)


ちなみに僕の娘たちは発症2日目に38℃台まで熱発しました。


ついでに(笑)娘の発疹を供覧します。

話がそれましたが、病児・病後児支援をしていただいて、本当に助かりました。

担当してくださった育児コーディネーターや保育士さんたちに感謝いたします。

ありがとうございました!!

(総合内科部門 坂西雄太)