2011年12月6日

長崎大学病院 へき地病院再生支援・教育機構「医学ゼミ」で講義しました

12月2日に長崎大学病院 へき地病院再生支援・教育機構の「医学ゼミ」でお話をさせていただきました。

ところで、長崎大学病院は国立病院で唯一「不活化ポリオワクチン(IPV)接種」を外来でされている病院です。せっかくの機会なので、講義前に同病院・小児科の中嶋有美子先生にお話を伺う場をセッティングしていただきました(高橋先生、ありがとうございました)。

長崎大学病院では今年の6月から外来でのIPV接種を開始されていますが、中嶋先生のお話によると「平成24年度末には不活化ポリオワクチンを導入する」という厚労省の発表後は、長崎大学病院でのIPV希望者の数は少し減っているということでした。

国によるIPV導入まで生ワクチンも輸入・不活化ワクチンもどちらも打たずに「待つ」という保護者がいることが予想されますが、これはもし国内でポリオが流行してしまったときや生ワクチン接種後の糞便中からの2次感染のリスクを考えると「待つ」という選択はおすすめできないとのことでした。僕もそう思います。
希望者が少し減ったとは言え、IPV外来の新規患者さんは約1ヶ月半待ちとのことで、ニーズに応えきれていない現状とのことでした。

神奈川県は、県によるIPVの輸入を決定し、現時点ではIPVは国の承認を得ていないため接種による健康被害に対してPMDA法による補償を受けることができないため、IPVに対する県独自の補償も準備しています。

生ワクチンも不活化ワクチンもどちらも打たずに「待つ」というリスクをなくすためには、やはり国によるIPV承認まではIPVを国が緊急で輸入し、補償の問題もクリアすることが必要だと思います。

中嶋先生、お忙しいなかお時間をつくっていただき、ありがとうございました!

さて、長崎大学の医学科では卒業までに「医学ゼミ」で6単位取得しなくてはならないそうで、そのゼミの1コマの講義を担当させてもらいました。昨年に続いて2回目になります。

医学科4、5年生8名ほどが聴講してくれました。
地域医療のゼミなどで、僕が昨年3月まで赴任していた北海道幌加内町での地域医療の経験を中心にお話をしました。

幌加内には佐賀大学病院・総合診療部からの派遣で3年弱勤務しました。
幌加内町は蕎麦を主産業とした人口1700人台の町で、町立国保病院が町内唯一の病院です。もともと子育て支援や予防医療に力を入れている町で、町の保健福祉総合センターのセンター長を町立病院の医師が兼任するというのも特徴です。

ちょうどヒブワクチンが日本で発売開始になったタイミング(2008年)とも重なり、僕がセンター長をしているときに幌加内町に提案し、ヒブ・水痘・おたふくかぜワクチンの公費全額助成制度が2009年度から開始されました。翌年からは、さらに小児用肺炎球菌・HPVワクチンも公費全額助成を開始しました。
すでに中学生以下には公費全額助成を開始していたインフルエンザワクチンを加えた6種に任意ワクチンを公費全額助成した自治体としては日本初であることも紹介しました。

(ちなみにそんな幌加内での日々を綴ったブログ『ホロカナイライフ』もよろしく笑)

「へき地医療」というと一般にはネガティブなイメージもあるかもしれませんが、医療に理解を示してくれる首長のいる自治体とであれば、行政と連携し理想的な予防医療なども展開できる魅力を学生さんたちに伝えたいと思いました。

また任意ワクチンの話題から、日本のワクチンギャップ、ワクチン行政についても少しお話をさせてもらいました。

なるべく学生さんたちとディスカッションしながら講義をすすめたかったんですが、伝えたいことが多すぎて90分の講義をほとんど僕がベラベラしゃべってしまったことが反省です・・・

講義のあとは、へき地病院再生支援・教育機構の調教授、高橋先生が学生さんとともに懇親会を開いてくださり、長崎大学病院ちかくの焼き鳥屋さんに行きました。
懇親会に参加した学生さんは男子学生ばかりだったので、かなり暑苦しく、じゃなかった、熱く、情熱を持った学生さんたちと飲めて、なんか部活みたいだなあと思いました。


ちなみに僕も長崎大学の高橋優二先生ともに佐賀大、長崎大のボート部出身なので、そのへんのノリもばっちし合っていたように思います。


昨年も思いましたが、熱い学生さんと会えると、こちらが元気をもらいます。

長崎大学の学生の皆さんとも、また「ざっくばらん家庭医療勉強会」や来年9月に福岡で開催される日本プライマリ・ケア連合学会の第3回学術大会でお会いできればと思います。

今回お話させていたくだく機会を与えてくださった長崎大学病院 へき地医療再生支援・教育機構の調先生、中桶先生、高橋先生に感謝いたします。

これからもよろしくお願いいたします!
(総合内科部門 坂西雄太)

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