最近は、ポリオ生ワクチンについては報道も多くなされるようになり、一般の方でもご存知の方が増えてきていると思います。
ポリオ(急性灰白髄炎)の原因となるポリオウイルスに感染すると1000~2000人に1人、手足に麻痺が出現すると言われています。
現在、わが国で使用されているポリオワクチンは生ワクチンであり、生ワクチンに含まれるポリオウイルスが原因で年間数名(100万人接種あたり1.4人)がポリオによる麻痺を発症しています。
厚労省のHPによると、日本では1960(昭和35年)年にポリオ患者の数が5千人くを越え大流行したそうですが、生ポリオワクチンの導入により流行はおさまったそうです。
そして1980(昭和55年)年の1例を最後に、現在まで、野生の(ワクチンによらない)ポリオウイルスによる新たな患者はありません。
野生のポリオが世間に蔓延していた時代には、ポリオ生ワクチンはまさに福音となったのでした。
当時から、ワクチンでポリオを発症するリスクは、やはり年間数名はあったと思われますが、その1000倍くらいワクチンで感染を予防できたからリスクを許容できたわけです。
当時から、ワクチンでポリオを発症するリスクは、やはり年間数名はあったと思われますが、その1000倍くらいワクチンで感染を予防できたからリスクを許容できたわけです。
しかし、日本国内で野生のポリオ感染がない今、年間に数名の子どもたちが、ポリオを予防するためのワクチンが原因でポリオを発症するのは忍び難いものです。いや、忍び難いなんてものじゃないですね、不活化ワクチンという選択がすでにある以上、許されないことだと思います。
海外では10年以上前からワクチンによるポリオ感染のリスクがない「不活化」ポリオワクチンを使用しています。世界と日本とのワクチンギャップのひとつです。
ホームページによると、現在、厚生労働省は不活化ポリオワクチンの国内導入の準備を進めていますが、早くても2012年度の終わりごろになる予定です。(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオワクチンの4種混合ワクチン(DPT-IVP)は、国内で開発中で、今年度末から順次、各メーカーからの薬事承認のための申請が行われる予定。またDPT-IVPの導入から近い時期を目指して、単独の不活化ポリオワクチンの導入も進められているとのことです)
現在、わが国では小児科医によっては不活化ポリオワクチンを個人輸入している医療機関がありますが、この場合は定期接種の扱いとはならないため接種費用は自己負担となります。
また現時点で佐賀県内で、この不活化ポリオワクチンを扱っている医療機関は1つの小児科医院のみで、接種できる医療機関は全国的にも十分ではありません。
報道の影響もあり、全国的にポリオ生ワクチンの接種を控える保護者も増えているようです。
問題なのは、不活化ポリオワクチン接種には費用がかかることと、接種できる医療機関も限られているため、生ワクチンも不活化ワクチンもどちらもせずに「待つ」という選択をしている方がいるだろうということです。
最近は中国でも野生のポリオ感染の報告があり、今後に日本に持ち込まれる可能性もあるため、どちらのワクチンもせずに「待つ」というのはリスクが高いと思います。
なので、来年度末(?)の不活化ポリオワクチン導入開始までの間、
国による単独・不活化ポリオワクチンの緊急輸入や、自治体による輸入不活化ポリオワクチン接種に対する公費助成が必要と考えます。
国による単独・不活化ポリオワクチンの緊急輸入や、自治体による輸入不活化ポリオワクチン接種に対する公費助成が必要と考えます。
ワクチンギャップ。本当に早くギャップを埋めなくてはと思います。
日本って、先進国なのか後進国なのかわからなくなってしまいます。
しかしボヤいてばかりでは、モノゴトは良くならないので、僕たちも、自分にできることから動きましょう。
地元の議員さんや行政に提言や要望のメール、電話などいろんな方法があると思います。
僕もまず、自分が住んでいる市に、要望を出してみようと思っています。
(総合内科部門 坂西雄太)参考
厚生労働省ホームページ
「感染症診療の原則」
『予防接種は「効く」のか?』岩田健太郎 著 光文社新書
お母さんのためのワクチン接種ガイド VPDを知って、子どもを守ろう。の会編 日経メディカル開発
お母さんのためのワクチン接種ガイド VPDを知って、子どもを守ろう。の会編 日経メディカル開発
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