8月5日に「プライマリ・ケアを語ろう・おおさか」の勉強会でワクチンに関するお話をさせていただきました。
「プライマリ・ケアを語ろう・おおさか」は日本プライマリ・ケア連合学会(発足当時は日本プライマリ・ケア学会)大阪地区の勉強会として発足し、年2回の参加型・体験型の勉強会で、今回で25回目になるとのことでした。
この勉強会では、患者さんへの生活習慣病予防の食事指導の勉強のため、講演の前に640kcal健康ランチの試食&アイスブレーク。懇談をするという楽しい企画があります。この健康ランチは、同会の管理栄養士の熊代先生が監修されています。
今回は夏ということでタイ料理でした!
ナシゴレン、ソムタム、トムヤンクン、ゴイクン、デザートにココナツミルクゼリーまでついて総カロリーが616kcal、食塩3.1gということでした。食塩が3gとは思えない、スパイしでしっかり味付けされていておいしかったです〜
お食事のあとに『これからの予防接種とプライマリ・ケアの役割』というテーマでお話させていただきました。
ワクチンの目的やVPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで予防できる疾患)、定期・任意接種制度の違いについてお話しました。
各ワクチンについては、時間の都合、任意ワクチンを中心におさらいし、乳幼児の細菌性髄膜炎予防のためのHib・小児用肺炎球菌、水痘(みずぼうそう)やムンプス(おたふくかぜ)ワクチン、B型肝炎ワクチンについて、成人のワクチンとしては現在、関西を中心に風疹が流行していることもあり、風疹ワクチン(MRワクチン)、23価肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン(B型肝炎キャリアからの水平感染予防として)などについてお話をさせていただきました。
その後に「それぞれのワクチン診療における障壁」について、グループディスカッションをしていただきました。
皆さんが普段感じる障壁として、
・「任意接種」という呼び方がそれほど必要ないワクチンとの誤解を生み、公的な機関からの任意接種ワクチンに関する情報発信も少ない
・ ワクチンについて誤解生む報道をするマスコミ
・ 感情でモノゴトを判断し、理屈を議論できないマスコミ・国民性
・ ワクチンなど予防医療の教育が学校教育でなされていない
・ ワクチンの供給不足
などのご意見がありました。
後半は、日本のワクチンギャップの現状・原因について概説し、ひとつの地方自治体の取り組みとして(毎度ですが)北海道幌加内町の6種任意接種ワクチンの公費全額助成の取り組みの紹介、同時接種やワクチン行政の最近の動向についてご紹介しました。
その後再びグループディスカッションとして「ワクチンの地域連携についてしていること・やれそうなこと」について話合っていただき
・ 医師会単位や薬局などで、ワクチン診療を積極的に行っている医療機関についての情報発信
・ 日常診療において母子手帳でのワクチン接種歴の確認をもっと行う
・ 医療者間のワクチンに対する考えのギャップを埋めていく、成人に必要なワクチンについても情報提供する
・ ワクチンについて、医療者の地域での勉強する機会を増やす
などのご意見をいただきました。
皆様からのワクチン診療に関する具体的なご質問には十分にお答えできなかったところもあり、私自身もっとワクチンについて勉強したいと思いました。
・・・ワクチンについてもっと勉強したい!おさらいしたい!という、そんなあなたに朗報です。
第3回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(博多)
2012年9月2日(日曜)13:30〜14:55
ワクチン教育講演
『ワクチンについて、これだけは知っておきたい〜保護者や医療者からよくある質問を中心にあなたの疑問に答えます〜』
講師:川崎医科大学・小児科 中野貴司先生
今回の大阪の勉強会では、参加者の皆さんにご協力いただき、日常のワクチン診療で受ける質問・疑問についてアンケートで記入していただきました。その内容についても、ワクチン教育講演での参考にさせていただきたいと思います。
「プライマリ・ケアを語ろう・おおさか」の皆様にはお招きいただき、またアンケートにご協力いただき誠にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
(総合内科部門 坂西雄太)