2011年7月11日

シンポジウム『わが国のワクチン行政とプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える』のご報告

佐賀は梅雨が明け、蝉が鳴き始めた今日この頃です。

さて、ご報告が遅くなりましたが、7月2日に札幌で開催された第2回日本プライマリ・ケア学会学術大会のなかで、当講座と佐賀大学病院 総合診療部の共同企画によるシンポジウム『わが国のワクチン行政とプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える』を行いました。

札幌で土曜日の朝9時からという早い時間にも関わらず多くの方にお越しいただきました。

シンポジウムは全体で90分しかなかったため、5人のシンポジストのみなさんに10数分ほどずつお話しいただき、最後はフロアとのディスカッションを行いました。

以下、各シンポジストの皆さんのお話の一部を簡単に箇条書きで述べたいと思います。


薗部友良先生
(日赤医療センター小児科顧問、「VPDを知って子どもを守ろう。の会」代表)

小児がんでさえ7割治る時代に、ワクチンで防げる病気(VPD)に対してワクチンをしないのはネグレクト。

日本のワクチン行政の問題の根本は、実は「司法の考え方」が大きい。無過失補償制度が必要。

WHOは先進国では水痘やムンプスの定期接種を勧めているが、日本では任意接種。水痘でも重症化すると死亡例もある。

マスコミの報道は「有害事象」をすべて「副作用」として扱っているが、真の副作用とそうでないものの区別必要。真の副作用であるアナフィラキシーショックは、ワクチンの材料にゼラチンを使用しなくなってからは減っている。重症免疫不全(SCID)の子どもは、周りの子供たちがワクチンを打って、ワクチンを打てない子供たちを守るべき。

ロタウイルスのワクチン(ロタリックス)が昨日(7月1日)に日本でも承認された。2-3か月後に発売予定。

「VPDを知って子どもを守ろう。の会」のホームページでは、ロタウイルスワクチンも含めたワクチン接種スケジュールを公開している。


岩田健太郎先生
(神戸大学 感染症内科)

不活化ポリオワクチンとヒブ、肺炎球菌ワクチンの同時接種を小児科医に断られた。
その医師は、子どものためを考えてではなく、自己の保身を考えているのではないか。
子どもではなく、自分の安全に目が向いている(詳細は岩田先生のブログ参照)。

海外では、同時接種で使用されているものを、日本で同時接種できないのはおかしいのではないか。

ワクチンに限らないが「もし、~~が起こったら、誰が責任を取るんだ」ということに怯え、思考停止に陥り、自主規制してしまう人が多い(これは放送禁止用語にも言える)。

医師として、プロとしての誇りと責任をもって、同時接種をしてほしい。


高畑紀一先生
(「細菌性髄膜炎から子どもたちを守ろう」会 事務局長)

ワクチンを受ける子どもの親の立場から。
子どもが3歳のときにヒブ髄膜炎にかかった。のちにヒブワクチンのことを知り、「ワクチンがありながら、守ってあげられなかった」と自己を責めた。

わが国での悪しきパターナリズム。「国がしていないから、必要性が低いハズ」と自分で考えなくなってしまっている人もいる。

キング牧師の言葉『善意の人の沈黙と無関心』に示されるように、無関心の中間層をどうするかが課題。

「ワクチンの恩恵=何もおこらないこと」なので一般の方に、ワクチンの重要性が伝わりにくい。

また、一般の方の科学に対する認識は「白黒つけてほしい、ズバっとはっきり言ってほしい」と思っている。実際の科学とはそういうようなものではないが、医療者には、そのような一般の認識を意識して説明を行っていただければと思う。


堀成美先生
(聖路加看護大学)

一般の方は、ネットでワクチンを検索しても、なかなかワクチンの正確な情報にたどり着けない。
とくに任意ワクチンについて(アクセスしやすい形で)情報提供している国の機関や行政のホームページは少ない。情報が不足している。

ワクチンは乳幼児期のみではない。学童、学生にも教育は必要。誰にどのように伝えるか。青年期からは母子手帳やワクチン接種記録を自己管理すべき。

現在、保護者の任意ワクチンの接種希望を医師が否定する困った状況も耳にすることもある。医療者間でも任意ワクチンに対しての認識のズレがある。助産師雑誌でも今回はじめてワクチン特集があった。

プライマリ・ケア連合学会もぜひ、ワクチン接種の指針を示してほしい。


で、僕は元・幌加内町保健福祉総合センター長として、北海道幌加内町における6種(インフルエンザ、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、おたふくかぜ、HPVワクチン)任意ワクチンの公費全額助成(自己負担なし)制度と医師・保健師による住民へのワクチン啓発によって、ワクチン接種率が向上した事例について報告しました。

国による定期接種化が望まれるのは、もちろんですが、それがなされるまでは、地方自治体独自のワクチン政策も必要だと思います。

幌加内町は人口も少なく、より少ない予算で公費助成が行えるのは確かですが、大きな自治体でも予算額そのものの印象で判断するのではなく、一般会計全体に対する割合で判断していただければと思います。幌加内町のワクチン公費助成事業の予算は、町の一般会計の0.1%弱です。

また、いままでは一般市民の方や小児科医や産婦人科医の先生方が必要な任意ワクチンの定期接種化をすすめるべく様々な活動をされてきましたが、プライマリ・ケア従事者の学会である日本プライマリ・ケア連合学会としても、他団体と協力して、ワクチン問題に取り組んでほしいと思います。


その後、フロアの皆さんとの質疑応答・ディスカッションを行いました。

ワクチン接種の手技や制度など実践に関する質問が多いのではと予測しておりましたが、実際は「日本プライマリ・ケア学会として、もっとワクチンについて情報発信すべきではないか」「小児のみならず、全年齢層でのワクチン接種スケジュールを学会として作れないか」「性教育、健康教育時にどのようにワクチン教育を行ったらよいか」「個々のワクチン接種歴の管理には、どのようなツールが有効か」といった前向きな発言・質問が多く、大変議論が盛り上がり、時間が足りないほどでした。

今後、学会としてワクチンについて取り組む際には、積極的に協力すると発言していただいた先生もおられ、皆さん、それぞれに何とかしなければと思われていた方が多いことを実感し、とても希望が持てました。
また個人的には、ついつい「ワクチン制度」や「ワクチン行政」など大きなところに目が向いてしまっていましたが、制度(ハード)に対して、もう一方で大切な住民(国民)へのワクチンに関する情報提供、住民がワクチンに対して不安や不信に思っていることに応えること(ソフト)も大切だということを改めて、学びました。

岩田先生の言葉にあった「それぞれが明日からできることをする」という、基本的なことにも立ち返りたいと思いました。
また高畑さんが言われた「1人が10言ってもなかなか一度には伝わらない。10人が、それぞれの機会で1ずつ話せば、最終的には10伝わると思う」という言葉にも、それぞれの現場での地道な取り組みの大事さを改めて感じました。

プライマリ・ケア連合学会の今回の震災医療支援のプロジェクト名は”Primary Care for All Team” ですが、ワクチンもまさに接種される個人はもとより、集団免疫を上げてみんなの健康を守るという”Vaccination For All” でもあります。

学会としての取り組みのためには、その準備等、少し時間がかかるとは思いますが、小児科医や産婦人科医だけではカバーできない世代も含めて、ワクチンについての情報提供や健康教育についてプライマリ・ケア医が関われることはとても多いと思います。

常に住民側を向いているプライマリ・ケア連合学会としての、これからの動きにとても期待をしています。もちろん、僕らにできることは何でも協力させていただこうと思っています。

(総合内科部門 坂西雄太)
 
※薗部先生の部分を次のように訂正しました。間違った記載をしたことをお詫びいたします。(7月14日)
「WHOは先進国では水痘やムンプスの定期接種を勧めているが、日本では定期接種→日本では任意接種」

2011年7月8日

平成24年度 総合内科医 育成 後期研修プログラム 説明会のお知らせ

暑い日が続きますが皆様お変わりないでしょうか。

今年も当講座の『総合内科 後期研修プログラム』の説明会を行いますので、どうぞ奮ってご参加ください。


場所:佐賀大学病院 卒後臨床研修センター 1階セミナー室

日時:7月13日(水) 午後6時30分~


「総合内科って?」、「日ごろはどこでどんなことをしているの?」、等の素朴な疑問にもお答えできればと思っています。

当日よろしくお願いいたします。
(総合内科 杉岡)

2011年7月1日

札幌 プライマリ・ケア連合学会でシンポジウム&ポスターのお知らせ

お知らせが直前になってしまいましたが(汗)
明日から札幌で行われる第2回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で
シンポジウムとポスター発表を行います。

明日(7月2日土曜)シンポジウムは以下のとおりで、ワクチン行政とプライマリ・ケア医の役割をみんなで考えよう!というものです。
企画した自分で言うのもなんですが、素晴らしいシンポジスト(あ、僕以外ですよ)をお呼びしていて、日本のワクチン行政をいろんな角度から考えることができると思います。
なるべくフロアとのディスカッションにも時間を割きたいと思っています。

そして、今後プライマリ・ケア学会としてもワクチンに対して、より積極的に一般の方や医療者に情報提供を行うようになってくれればという願いも込めています。

7月3日(日曜)には、東日本大震災 支援活動のポスター発表もいたします。
僕はPCAT涌谷で参加させていただいた『地域連携型 医療的避難所「ショートステイベース(SSB)」』について発表します。

PCAT以外の活動報告もあるようです。ポスターは土曜日から掲示されますので、ぜひご覧ください。

札幌で全国のみなさんにお会いできるのが楽しみです!

以下、学会HPよりシンポジウムとポスターの詳細です。


企画名
 【シンポジウム2】
わが国のワクチン行政とプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える
(佐賀大学 総合診療部、地域医療支援学講座 共同企画)


日時 7月2日(土) 9:00〜10:30

会場 ホールC  3階 ロイトンホールAB

開催の目的 限りある医療資源のなかで予防医療とりわけワクチンは重要である。
しかし、わが国のワクチン行政は世界の動向よりはるかに遅れており様々な問題を抱えている。

小児科医や産婦人科医とともに、地域医療の担い手であるプライマリ・ケア医こそ、この問題と向き合う必要がある。

ワクチンの意義とわが国のワクチン行政の問題点を理解し、これからのプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える。

対象
医師、看護師およびメディカルスタッフ、行政関係者、学生、地域医療・母子保健・健康教育に関心のある全ての方々

司会 杉岡 隆 (佐賀大学医学部地域医療支援学講座)

シンポジスト
 薗部 友良 (日本赤十字社医療センター小児科、「VPDを知って子どもを守ろう。」の会 代表)

岩田 健太郎 (神戸大学病院感染症内科)

堀 成美 (聖路加看護大学 看護教育学)

高畑 紀一 (細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会)

坂西 雄太 (佐賀大学医学部地域医療支援学講座、前・幌加内町保健福祉総合センター長)

企画概要
 医師、教育学、市民より専門家を招き、わが国のワクチン問題について多角的に検討し理解を深める。またプライマリ・ケアの現場での医療機関と行政の連携による取り組みも紹介する。

シンポジウムの後半では、シンポジスト同士や会場とのディスカッションを行い、これからのワクチン行政におけるプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える。

各シンポジストには以下について講演していただく。

薗部友良先生および岩田健太郎先生には、それぞれ小児科医、感染症科医の立場から、ワクチンで予防できる病気(Vaccine Preventable Diseases:VPD) に対するワクチンの意義やわが国のワクチン行政の制度上の問題点などについて。

堀成美先生には看護教育学の立場から、市民への健康教育やワクチンに関する情報提供のあり方などについて。

高畑氏には細菌性髄膜炎から子どもたちを守ろう会のこれまでの活動や、患児の保護者としての想い、市民と医療職、行政との連携などについて。

坂西は6種(インフルエンザ、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、ムンプス、HPVワクチン)任意ワクチンの公費全額助成を実現した北海道幌加内町の取り組みを紹介する。

 
【東日本大震災 支援活動ポスター】
企画概要


2011年3月11日、日本をおそった東日本大震災。

本学会ではいち早く「東日本大震災支援プロジェクト PCAT(Primary Care for All Team)を立ち上げ被災地の支援を継続しております。

今学術大会には実際に現地に向かわれた保健・医療・福祉職の皆様そして、まさしく現地で復興のため日夜がんばっていらっしゃる方も参加されることと存じますので、現地での活動を写真などの記録を交えて紹介するポスターセッションを企画いたしました。
会場は市民公開講座の会場の目の前です。一般の方にも私たちプライマリ・ケアに携わるものの仕事を知っていただく機会にもなると思います。
ポスター展示場所

ロイトン札幌 3階一般ポスター演題と同様のフロア

時間

【ポスター掲示】 7月2日 8:30~13:30

【発表時間】   7月3日 9:30~10:30

【ポスター撤去】 7月3日 15:00まで


(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月22日

第4回ざっくばらん家庭医療勉強会に参加しました

6月18日(土)に長崎大学病院で開催された、第4回ざっくばらん家庭医療勉強会(第2回学生・研修医のためのプライマリ・ケアの集い併催)に参加しました。

ざっくばらん家庭医療勉強会は、学生団体の九州家庭医療ネットワークが主体となり、様々な医療機関の医師もサポーターとして参加しています。

今回は、長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構の先生方が主催され、家庭医療、プライマリ・ケアに役立ついろんなレクチャーがありました。以下、かんたんにその内容をご紹介します。


『診療所で使える捻挫や骨折の処置』
(宮本俊之先生(長崎大学病院整形外科)

足の捻挫についてのレクチャーのあと、実際にRICE(Rest, Icing, Compression, Elevation)をしてみようということでIcingの実習がありました。いままでIcingの重要性はわかっているつもりでしたが、具体的な冷却法を教えていただいたのは初めてだったので、とてもためになりました。また早めに整形外科医に紹介すべき所見も教えていただきました。


『ハンマーを使わない神経診察』 
(中桶了太先生 長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構)

病歴だけで、神経疾患の60-70%が診断可能だということで、神経疾患の鑑別に役立つ問診や診察のポイントを教えていただきました。また、高齢者の診察では「難聴」のため医師の指示どおりにできないこともあるので注意とのことでした。


『離島医療』 
(有吉靖先生 佐賀医大OB)

長崎の離島である宇久島(人口2800人、佐世保まで船で2時間半)の診療所(佐世保市立総合病院宇久診療所)で医師をされている有吉先生のお話でした。
有吉先生は佐賀大学医学部(当時の佐賀医科大学)の大先輩で、卒業後から離島医療をするために、まず6年間の研修をされた後に離島に移られ、さらに卒後13年目より6年間、再度研修(形成外科、産婦人科なども)され、現在に至るというすごい先生でした。
また宇久島では保健師さんと連携し、予防接種にも力を入れているとのことでした。有吉先生の宇久島への愛情や「離島だからできること」「3日先の波風まで把握している」という言葉も印象的でした。

『在宅医療はどこまでやれるのか(終の棲家を求めて)』
(松尾誠司先生 長崎宝在宅医療クリニック)

松尾先生は在宅医療を専門でされ、とくに癌の終末期の方の在宅ケアをされています。
基本的には医師は1名で24時間対応され、年間に80名ほどの方々を在宅でお看取りされており、めちゃめちゃ気合いが入った先生でした。
もちろん訪問看護師さんの働きも大きく、訪問薬剤師との連携も取っておられます。また家族のグリーフケアもされています。
「在宅の看取りを通して、家族がまとまる」という言葉から患者さん本人だけでなく、ご家族の歴史や想いまでも含めたケアをされていることが印象的でした。また在宅医療の現場でも「仲間づくり」の大切を訴えておられました。


『症例検討会1』
(江口幸士郎先生 唐津市民病院きたはた)

症例をとおして「高齢者虐待」の問題をとりあげられました。虐待を疑った場合の対処の仕方や「介入の主眼は処罰ではなく、あくまで支援」というが印象的でした。


『症例検討会2』
(吉田伸先生 飯塚・頴田家庭医療プログラム後期研修医)

「クイズでケース 膝痛の診療」ということで、膝痛の患者さんの症例をもとに膝の診察のポイントを教えていただきました。

症例検討会では参加者が各自のケータイから、回答する形式で瞬時にどの解答を選らんだという選択率がわかるシステムで、楽しみながら症例検討に参加することができました。


『PCAT報告』 
症例検討1をされた江口先生、飯塚病院の茂木先生と僕の3人で合同報告をしました。

たまたま3人それぞれが5月下旬から6月上旬にかけて、日本プライマリ・ケア連合学会の東日本大震災支援プロジェクト(PCAT)で石巻に行ってきました。
同じ石巻ではあったのですが、それぞれ担当業務が違ったので、江口先生が「福祉的避難所(遊学館)について」、茂木先生が「在宅診療支援について」、僕が「医療的避難所(ショートステイベース、SSB)」についての報告をしました。

僕らの報告を聞いて、その後、長崎大学医学部の5年生がPCAT参加を申し込んでくれたとのことでした。
西日本の僕らも何らかの形で東北の震災支援を続けていきたいと思います。

勉強会終了後には、場所を移して恒例の懇親会がありました。参加された医師や他大学の学生さんとのお話ができて楽しかったです!

今回もいろいろな施設の先生方のお話を聞くことができ、また学生さんの参加も多く、今回は宮崎大学からの参加もあり、プライマリ・ケアのネットワークがだんだん広がってきています。
『オール九州』を目指して、これからも施設を超えた交流を続けていきたいと思います。

(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月20日

佐賀大学病院 総合診療部 医局説明会(地域医療支援学講座 総合内科医育成プログラム説明会併催)のご案内

そろそろ医局説明会の季節になってきました。
下記の日程で佐賀大学病院 総合診療部の医局説明会が開催されるのでご案内します。
その説明会のなかで、当講座の後期研修プログラムである「総合内科医育成プログラム」についても説明をさせていただきます。
対象は初期研修医としていますが、医学生ももちろん大歓迎です。

もちろん、その後の懇親会にも当講座教員も参加いたします!


以下、総合診療部からのご案内です。

専門診療が発展した現代ほど、地域から実力のあるプライマリ・ケア医(良医)を要望する声が多くなっています。
佐賀大学総合診療部は、将来プライマリ・ケアに関わる家庭医療、地域医療、総合診療に進みたいと考えている医師を大事に育成してきました。
日本ではまだまだ現場の医師は不足しています。私達は多くの若い皆さんがプライマリ・ケアの領域に進むことを希望しています。
総合診療部はそのような熱意ある医師を育て、応援するための教育、研究をする部門です。

興味のある方は、是非ご参加下さい!



日時:2011年6月24日(金) 18時30分より

場所:佐賀大学病院 総合診療部医師室(病院2階)

当日説明会の後に、食事会を予定しています。(20時頃より)

関連病院で勤務中の先生方にも参加していただく予定ですので、大学病院以外のお話などもできるかと思います。是非、気軽に遊びに来てください。

ご参加のご連絡、不明な点などがありましたら以下の連絡先まで。

連絡先 総合診療部医局 0952-34-3238

(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月17日

PCAT参加報告会をしました

おととい、PCAT(日本プライマリ・ケア連合学会 東日本大震災支援プロジェクト)に参加した報告会を院内で行いました。

自分が石巻に行ったのは、ほんの1週間で、関わったことも石巻圏全体のほんのごくわずかですが、「実感」したことを少しでもお伝えできていたら、と思います。

6月10日付けの報道などでは、避難所生活者は約9万人(宮城県:2万3千人、岩手県:2万1千人、福島県:2万3千人)もおられます。

また6月9日付けの厚労省の発表では、被災7県の仮設住宅の入居数:1万2077戸(宮城県:5917戸、岩手:3774戸、福島:2112戸、全完成数2万7572戸、入居率43.8%)だそうです。

いまの梅雨、そして夏を避難所で迎える方々を思うと心が痛みます。

石巻では、避難所で万年床となっている布団を干す(乾燥させる)プロジェクト「石巻ダニバスターズ」(石巻災害復興支援協議会、専修大学ボランティアセンターなどの共同)があります。

協議会の「ダニバスターズ」紹介ブログはこちらを。

布団乾燥機や発電器、燃料などにも資金が必要ですので、募金のご協力もお願いいたします!

義援金振り込み先
口座名義:石巻災害復興支援協議会 会長 伊藤秀樹
石巻信用金庫 向陽支店(店番号007) 普通口座 6230229
こちらもご参照ください)


石巻に限らず、被災地には本当にまだまだ長期のサポートが必要です。
それぞれが自分にできること、をしつづけましょう。
(総合内科部門 坂西雄太)

2011年6月8日

佐賀大学の「病児・病後児保育」の子育て支援&手足口病

佐賀大学病院には「病児・病後児保育」の子育て支援サービスがあります。


このサービスは、佐賀大学の女性研究者支援室「かささぎサポート・ラボ」が担当されています。
利用対象者は、佐賀大学教職員、大学院生、学部生が保護者であり佐賀大学病院まで送迎可能な保護者の幼児(就学前まで)です。

看護師、保健師資格を持った育児コーディネーターの方が担当してくださいます。

定員2名までとなっています。支援時間は平日の午前8:30~午後5:15となっています。

病院敷地内の「子どもの杜保育園」に併設して保育室があり、希望時は1食300円で保育園の給食を頼むこともできます。

詳細はこちらをご覧ください。

また、佐賀県女性医師等就労支援事業SAGAJOYのホームページもご覧ください!


で、実は昨日と本日、僕の娘二人(3歳&1歳)がこの病児保育にお世話になりました。

今年度から奥さんも佐賀大学病院で仕事を始めた、夫婦共働きの我が家にとっては、病児保育は本当に助かります。

娘たちは熱はあるものの元気は元気で「なんらかのウイルス性感冒だろう」なんて思っていたら、
さらに熱が上がり、保育室で預かっている時間帯に大学病院の小児科を受診させてもらい、
小児科の先生より咽頭に水疱もあり「手足口病」と診断していただきました。
そういえば、朝からチビの口の周りに発疹がありました…


せっかくなので(笑)、学生さん向けに「手足口病」について簡単に解説します。

「手足口病」はコクサッキーA16(CA16)、CA10やエンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルスによる感染症で、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性発疹を主症状として、幼児を中心夏に流行します。

潜伏期は3~5日。発熱は1/3に見られるが軽度で38℃以下のことがほとんど。水疱は3~7日で消退し、水疱が痂疲を形成することはない(へ~)。稀に髄膜炎など中枢神経系合併症や心筋炎などを生じることがある。とくにEV71は中枢神経系合併症に注意する。学校で予防すべき伝染病1~3種には含まれていない。

(参考:国立感染症研究所感染症情報センターHP「手足口病」)


ちなみに僕の娘たちは発症2日目に38℃台まで熱発しました。


ついでに(笑)娘の発疹を供覧します。

話がそれましたが、病児・病後児支援をしていただいて、本当に助かりました。

担当してくださった育児コーディネーターや保育士さんたちに感謝いたします。

ありがとうございました!!

(総合内科部門 坂西雄太)