2012年7月18日

かたらん場「地域でできる妊婦さんへのサポート」に参加しました


717日に、かたらん場「地域でできる妊婦さんへのサポート」に参加しました。

4月に行った「妊婦さんのサポート」をテーマにしたかたらん場(とつきとおかの贈りもの)の第2弾で、第1回目でほしいサポート断トツだった「周囲のサポート、身近なサポート」を踏まえ、より具体的に「地域で」できることにテーマを絞りました。

今回も、佐賀市こども課、佐賀いのちを大切にする会、佐賀市社会福祉協議会、Happy Birth Project(育楽プロジェクトからのプロジェクト)そして当講座の共催で行いました。

佐賀市の西与賀(よか)公民館を会場に貸していただき、妊娠・子育て中のママさんを始め、佐賀市内のいくつかの公民館から代表の方や、佐賀で子育て支援を行っているいろんな団体やカフェ、佐賀新聞社などローカルメディア、そして佐賀大学医学部から看護科助産コースの4年生2名も参加してくれ、総勢32名+赤ちゃんたち(託児あり)でワイワイ賑やかな会になりました。

不慣れながら、今回は僕が総合ファシリテーター(司会)をさせていただきました。会場の関係で2時間というタイトなスケジュールのなかで、5グループにわかれてかたらん場(ディスカッション)を行いました。

まず、パパ・ママの立場や支援者の立場で「妊娠中に困ったこと(サポートが難しかったこと)」をテーマにグループディスカッションを行い、それぞれの意見はグループごとのファシリテーターさんにまとめてもらいました。

次に、同様にそれぞれの立場で「妊娠中に嬉しかったサポート(喜んでもらえたサポート)」を話合いました。

そして、それらを全体で発表・シェアし、大きくグループ分けをしました。
困ったこととしては、妊娠中の不安、妊婦仲間がいない・集う場がない、どんなサポートが必要かわからないといった意見が挙りました。
また嬉しかったことしては、ちょっとした声掛け・心遣い、夫のサポートなどが挙りました。

それらの意見をふまえて、次に「妊婦さんにこんなサポートがあったらいいな」というテーマでグループディスカッションを行いました。さらに、それぞれででた意見を実現可能性のポイントから、一人でもできる仲間とちょっと頑張ればできる大きなハードル(法整備や莫大な費用など)を超えればできるの3つにレベル分けをしてもらいました。

それぞれのグループからを発表してもらいました。今回はとくに「地域でできる」ことをテーマにしたのでについて少し掘り下げてもらいました。

「仲間とちょっと頑張ればできる」サポートとして、妊婦さんと子育て中のママたちが一緒に集まれる場つくり、プレパパや子育て中のお父さんの場つくり、母子手帳交付時などに妊婦さん向けのサポートの情報提供などが挙りました。集う場としては、地域の公民館やカフェなどがいろんな選択肢を用意しながら、すでにあるいろんなサポート、サークルと協力して、関係者が「少しずつやっていく」こと、そして、妊婦さんにも「地域とのつながりを感じる第一歩を踏みだしてもらう」ことの大切さを参加者で共有できたと思います。
また、いろんな参加団体も今回の議論の内容を持ち帰って、今後の行動につなげるために検討していただくことになっています。

今回、参加してくださったいろんな団体や個人のみなさんとこれからもいろんな形でつながって、お互いがちょっとずつ協力して、より良い取り組みができればと思いました。佐賀という比較的小さな地域で、でもいろんな熱い想いをもった多くのひとが協力できれば、きっといいものが生まれる予感がしています。

そんな熱い(そして外も暑い)1日でした。
(総合内科部門 坂西雄太)

今回のかたらん場の内容は、後日に「まとめ」として公表予定です。



2012年7月4日

風しんが流行中!お父さん、大丈夫?

こんにちは!
最近、全国で風疹が流行していますので、今日はこのことについてお話します。

風疹(ふうしん)って聞いたことはあると思います。俗にいう「三日はしか」ですね(ちなみに「はしか」は麻しんのことです)。

風しんは、風しんウイルスによって、急な発熱と発疹、耳の後ろや首のリンパ節の腫れを起こす病気です。発熱はふつうは3〜4日間ですが、熱がでないこともあります。
以前から風しんワクチンを2回接種していた欧米とは異なり、日本ではいまでも風しんが流行することがあります。風しんにかかる年齢は生後12ヶ月ころからで、流行は春先から初夏にかけてが多いです。

で、いま全国では風しんが流行している地域があります。
少し前(2012611日〜617日)のデータですが、以下のようになっています。

風しん53(検査診断例42例、臨床診断例11)
感染地域:兵庫県14例、大阪府10例、東京都5例、三重県3例、千葉県2例、福岡県2例、群馬県1例、埼玉県1例、新潟 県1例、京都府1例、奈良県1例、国内(都道府県不明) 12
年齢群:1(1)4(1)1519(9)2024(4) 2529(7)3034(15)3539(3)40 (10)50(3)
2012年の風しんの累積報告数:393(検査診断例270例、臨床診断例123)
(国立感染症研究所 感染症動向調査2012年第24週よhttp://www.nih.go.jp/niid/images/idwr/pdf/latest.pdf
風しんは、ここ5年間のなかで今年が最も多く(すでに昨年1年間の累計数を超えています)、さらなる流行の危険があります。
現時点では、風しんに感染したのは、20代以上の男性が報告数全体の63%を占めています。(麻しんは昨年より報告数は少ないものの、今年の麻しん患者の45%は成人です!)
おとなりの福岡県でも報告例がありますので、佐賀でも十分な注意が必要です。
風しんウイルスは患者さんの唾液のしぶき(飛まつ)などによって他のひとにうつります。発疹のでる数日前から発疹がでたあと5日間くらいは感染力があります。
風しんの症状は子どもだと比較的軽いですが、まれに脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症が20005000人に一人くらいの割合で発生するので、決して軽くみることはできないと思います。
また大人がかかると、子どもの場合より症状や期間が長くなることがあり、1週間以上仕事を休まなければなることもあります。

さらに(ここからがとくに大事です)風しんウイルスに対して免疫のない女性(風しんワクチンを2回していないか、しても抗体が下がっている場合、風しんにかかったことがない・または不明な場合も)が、妊娠初期に風しんにかかるとおなかの赤ちゃん(胎児)も風しんウイルスに感染し、難聴や白内障、心臓病そして精神や体の発達の遅れなどの障がいをもった赤ちゃんが生まれる可能性があります。これらの障がいを「先天性風しん症候群」といいます。
先天性風しん症候群をもった赤ちゃんがこれらすべての障がいをもつとは限りませんし、先天性風しん症候群がおこる可能性は妊婦さんが風しんにかかった妊娠時期により変わります。とくに妊娠初期の妊娠12週までにその可能性がありますが、調査によって2590%と幅があるそうです。ですので、妊娠初期の風しんの感染が疑われた場合は、まずはかかりつけの産科の先生に必ず相談をしてください。

この先天性風しん症候群を予防するためには、妊娠していない時期に女性が風しんワクチンをすること、妊婦さんやこれから妊娠する可能性のある女性のパートナー(夫、お父さん、彼氏さん)も風しんワクチンをしておくことが大切です。

2011年にも国内で風しんの流行があり、数例の先天性風しん症候群が報告されています。

2005年度(平成17年度)までは生後12ヶ月から90ヶ月未満に風しんワクチンは1回のみ定期接種されていましたが、2006年度(平成18年度)からは麻しんとともに2回接種制度が導入され、風しんワクチンは、「麻しん・風しんワクチン(MRワクチン)」として、1歳と小学校入学の前年(年長さん)で2回接種することになっています。
また、2007年から始まった麻しんの大流行をうけ、2008年度から今年度(2012年度)までは中学1年生になる学年と高校3年生になる学年のひとも2回目の接種を、定期接種として受けることができますので、該当する子どもさんたちは絶対にうけてほしいと思います。

ちなみに、1歳になったらこのMRワクチンとともに水痘(みずぼうそう)ワクチンやおたふくかぜワクチン(これからは任意ワクチンです)もすぐに接種するのがおすすめです(同時接種もできます。水痘、おたふくかぜワクチンについてはまた次の機会に)。

ワクチンの導入時期や導入後の移行期の影響で、30代以上の男性は風しんワクチンを1回もうったことがない方がほとんどだと思います。
平成23年度の調査では、20代男性の10人にひとり(10)30代〜50代前半の男性の5人にひとり(20%)は風しんの免疫を持っていなかったそうです。

くりかえしますが、今年の風しん患者さんの63%が20代以上の男性です。

ですので、若いお父さんに限らず、若いおじいちゃん(?)も、もっと言うと周りに妊娠可能な女性がいる20代以上の男性で風しんに対する免疫がない(または不明)な方は、自分自身を守る意味と、お腹の赤ちゃんを先天性風しん症候群から守るためにも風しんワクチン(麻しん・風しんワクチン:MRワクチン)を接種することをおすすめします。
この場合は、定期接種ではないのでお金はかかりますが、それだけの、それ以上の価値があると思います。
(風しん単独ワクチンもありますが、麻しんの対策も大事なので、麻しん・風しん混合ワクチン:MRワクチンがおすすめです。おとなの場合、MRワクチンは任意接種となるため、接種料金は医療機関によって異なりますが、概ね1万円のようです)

また風しんに対する免疫があるかないか(抗体が下がっていないか)は、病院の血液検査でわかりますが、たとえ抗体が下がっていなくてもワクチンをするにこしたことはなく(ワクチンをすることでさらに免疫が強化する効果が期待されますし、またすでに免疫があっても再度のワクチン接種で特別な副反応がおこることもありません)、血液検査や病院受診にもお金がかかりますので、検査なしでワクチンをしてもかまわないと思います。
個人的なことですが、僕(30代男性)も結婚してすぐに、抗体検査なしで麻しん・風しんワクチンをしています。

麻しん・風しんワクチンは、生ワクチンのため妊娠中の女性は接種することができず、妊娠していない女性は接種後1〜2ヶ月は避妊が必要です。

なので、すでに妊娠中に周囲で麻しんや風しんが流行した場合には、旦那さんや周りの家族が麻しん・風しんワクチンをして、妊婦さんに感染させないことが大事だと思います。

大人の麻しん・風しんワクチンの予防接種をどこでうけたらいいかについては、お近くの小児科、内科医院や保健所にお問い合わせください。

必要なワクチンはきちんと接種して、赤ちゃんや家族を守りたいですね。
(総合内科部門 坂西雄太)


参考
VPDを知って子どもを守ろう。ホームページ
風しん
国立感染症研究所ホームページ 
風疹とは
風疹Q&A2012年改定)
国立感染症研究所 感染症動向調査2012年第24


2012年6月28日

母子保健推進員さんに予防接種についてお話しました


佐賀県母子保健推進協議会の伊万里支部と唐津支部の研修会で、予防接種についての講演「赤ちゃんと家族を守るワクチンのお話」をさせていただきました。

今週月曜日と水曜日にそれぞれ有田町福祉保健センターと唐津保健福祉事務所に伺いました。それぞれ3040名ずつの母子保健推進員さんと保健師さんはじめ行政担当者のみなさんにお話を聞いていただきました。

母子保健推進員とは、行政と子育て中のお母さんの橋渡しをする、地域の子育てサポーターとしてボランティアで活動をされています。

今回は、まず予防接種の目的やワクチンの意義について大まかにお話し、定期接種と任意接種の違い、生ワクチンと不活化ワクチンの違いを理解していたただいたうえで赤ちゃんへのワクチンを中心に、家族(おとな)にも必要なワクチンについて簡単に解説をしました。
定期接種ワクチンについては、行政からの情報提供がしっかりしているため、今回は主に任意接種ワクチンのヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、水痘(みずぼうそう)ワクチン、おたふくかぜワクチン、B型肝炎ワクチンについてお話ししました。

厚労省研究班の全国10道県(北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島、沖縄)を対象とした調査では、2008年から2010年の3年間と比べ、2011年では、5歳未満人口10万人当たりのHib(ヒブ)髄膜炎罹患率が57.1%減少(髄膜炎以外の侵襲性Hib感染症も45.1%減少)肺炎球菌による髄膜炎も25.0%減少(髄膜炎以外の侵襲性肺炎球菌感染症も32.3%減少)したことがわかりました。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-m/flu-iasrd/1731-kj3853.html

ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンを定期接種化している海外では、ヒブによる髄膜炎罹患率が99%減少し、肺炎球菌による髄膜炎も75%減少していますので、もっと日本でもこれらのワクチンの接種率を上げれば、より多くの子どもたちを髄膜炎から守ることができます。

あと最近のトピックとしては、水痘ワクチンの2回目の推奨時期が、1回目から412ヶ月後に早くなったこともお伝えしました。
http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_110427.pdf

日本では、現在30歳くらい以上の男性は、風疹ワクチンをしたことがない方がほとんどだと思います。最近は各地で風疹の流行が報告されています。
妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染することで、先天性風疹症候群という胎児に影響が出ることがあるため、風疹ワクチンを接種したことのなく(あるいは不明)、かつ風疹にかかったことがない(あるいは不明)な方は女性も男性も風疹ワクチンを打つことをおすすめしました(ちなみに僕も結婚してすぐに麻しん・風しんワクチンをしました)。

また北海道幌加内町の7種任意ワクチン公費全額助成の取り組みもご紹介しました。

最後に母子保健推進員さんへのメッセージとして、先日のHappy Birth Projectでの「妊娠中に必要なサポート」についてのアンケート結果断トツが「周囲のおもいやり」だったこともご紹介しながら、引き続き妊産婦さん・子育て中のお母さんのこころのサポートや「地域」とのつながりのサポートをお願いしたいこと、妊産婦さん・お母さんの年齢層やライフスタイルは様々なため、いろんな形のサポートや啓発の仕方のアイデアを私たち医療者や行政機関に教えていただきたいこと、行政や「地域」と妊産婦・子育て中のお母さんたちとの橋渡しとして、ぜひ子育てに関する住民の声を、自治体や議会につないでいただきたいことをお伝えしました。

また母子保健推進員さんや子育て中のお母さんのための、ワクチンの情報源としてVPDを知って子どもを守ろう。会」のホームページ日本小児科学会国立感染症研究所感染症情報センターのホームページからダウンロードできる予防接種スケジュールについてもご紹介しました。

スマートフォンをお持ちの方には、「VPDを知って子どもを守ろう。会」のホームページから無料でダウンロードできる「予防接種スケジューラー・アプリ」もおすすめです。


伊万里地区での研修会では、講演のあとに「年齢層やライフスタイルが様々な妊産婦さんたちにどのようなサポートができるか、どのようなサポートが良かったか」を母子保健推進員さん同士でグループディスカッションをしていただきました。

最終的には必要なワクチンが、きちんと定期接種化されることが大切ですが、それと並行して自治体や地域でのワクチンに対する正しい理解も大事です。

微力ではありますが、これからも地域の健康を守るために、医療者はもちろん、地域の保健師さんはじめ行政関係者、母子保健推進員のみなさん、一般の方と一緒にワクチンの啓発活動を行いたいと思っています。
(総合内科部門 坂西雄太)

2012年6月12日

子どもの事故(傷害)を防ぐためには


週末は日本プライマリ・ケア連合学会の春季生涯教育セミナーに参加しました。
春季セミナーには様々なワークショップやレクチャーがあるんですが、そのうち2つを受講しました。

今日はそのうちのひとつをご紹介します。
小児科医の山中龍宏先生による『子供の事故を防ぐ知恵と子育て支援』に参加しました。

山中先生は、長年、子どもの事故(傷害)予防の活動に取り組まれ、日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会の委員長もされています。

日本を含め先進国の118才の死亡原因の第1位をご存知でしょうか?
病気と思われるかも知れませんが、それは「不慮の事故」とのことでした。
(※平成21年の日本の14歳、1014歳では第2位のようです。http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html 

ワクチンのよる病気の予防ももちろん大切ですが、事故予防もとても大切なことがわかると思います。

事故(accident)というと「防ぎようのない」というニュアンスが含まれるため、「防ぎ得るのに起きてしまった」というニュアンスを持たせて、現在海外ではinjuryという言葉を用いているそうです。
山中先生は、このinjuryを「傷害」と訳されています。

海外でも、日本でも子どもの年齢に応じて、よく起こる事故(傷害)はわかっていて、海外では食品や生活器具・玩具による事故(傷害)を監視する機関があり、メーカーへのリコールを命じることもあるそうです。

今回のセミナーは、ベビーカーの金具に指が挟まれた赤ちゃんの事例が取り上げられました。米国でも同様の事例があり、対象ベビーカーはリコールされたそうですが、日本の消費者庁は注意のみでリコールには至りませんでした。
(参考:「ベビーカーによる指先の切断」http://www.jpeds.or.jp/alert/pdf/0026.pdf

このような事故(傷害)を繰り返さないためには、現場で親に注意を促すだけでは不十分で、根本的な原因を改善しなくてはなりません。責任の追求ではなく、原因の追求が必要です。

そのために山中先生は、工学系の技術者にも協力してもらい事故(傷害)を起こした器具の構造なども検討し原因と、その改善点を探るとのことでした。
また、そのような構造上の不備が明らかになることによって、事故の予防になることはもちろん、事故(傷害)にあった子どもの親御さんの「自分たちが事故を起こしてしまった」という精神的な負担を軽くすることにもつながります。

また、山中先生は日本小児科学会のホームページに「Injury Alert(傷害注意速報)」のコーナーを作られ、同じ事故(傷害)が繰り返されないために、各事例について詳しく解説されています。

小児の診療に関わる医療関係者のみならず、ぜひ一般の方にも見ていただければと思います。

URLはこちらです
事故(傷害)予防のためには、まず現場の医療機関からの情報提供(サーベイランス)が必要です。
(これはワクチンについても同様で、対象疾患のサーベイランスが大切です)

基本的にはInjury Alertへの情報提供は小児科学会会員からのものですが、日本プライマリ・ケア連合学会会員の医師からの情報提供があれば、小児科学会事務局まで連絡をくださいとのことでした。

以下もご参照ください。

子供の安全ネットワーク・ジャパン
http://safekids.ne.jp/

提言:「事故による子どもの傷害」の予防体制を構築するために
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t62-9.pdf


病気も事故(傷害)も、あらかじめリスクがわかっているものは出来るだけ予防して、子どもたちの成長をサポートできればと思います。
ワクチン問題と同じで、本当は国によるしっかりとした対策が必須ですが、まずは現場ひとりひとりの取り組みが大事です。
(総合内科部門 坂西雄太)

2012年5月28日

6月のプライマリ・ケア レクチャーシリーズのお知らせ

『プライマリ・ケア・レクチャーシリーズ 』
2012年6月のお知らせ

毎週水曜 ケースカンファレンス
毎週木曜 レクチャー
ともに朝7:30~8:00 
佐賀大学医学部 地域医療支援センター 2階 セミナー室

6月6日(水) ケースシェアリングカンファレンス 
              佐賀大学 地域医療支援学講座
6月13日(水) 症例クイズ 勤医協中央病院
6月20日(水)ケースシェアリングカンファレンス 函館稜北病院
6月27日(水)病理クイズ 旭川医療センター

6月7日(木)高齢者総合評価 西村 真紀先生
6月14日(木)肩のみかた 仲田 和正先生
6月21日(木)ふるえ 佐久嶋 研先生
6月28日(木)子供を診るときの注意点 佐々木 暢彦先生

おめざ用意してお待ちしてます! (*^_^*)

(地域医療支援学​講座 事務)

2012年5月26日

6月よりEMP始めます!


※場所が変更になりました(5月29日訂正)


『EMPのお知らせ』


6月より佐賀大学病院・総合診療部・山下教授によるEMP: English for Medical Purposeを開始します!
総合診療部と当講座総合内科部門との共催です。


EMPとは、英語で症例検討などを行い、英語と医学の勉強が同時にできてしまう勉強会のことです。


対象は、原則として医学生・看護学生です。
もちろん参加費は無料です。今後、2週間に1回程度、開催したいと思っています。
日程は順次、お知らせします。


医師になってからは英語で論文を読むことは必須になりますし、英語で症例についてディスカッションできるようになるとさらに世界が広がります。


「英語は苦手!」と思っているあなたこそ、歓迎します!
みんなで少しずつ、英語と診断推論を学びましょう!


“ 100 Cases in Clinical Medicine” というテキストを用いて勉強します。
参加申し込みなどは不要ですが、事前にテキストのコピーをお渡ししますので佐賀大学病院2階の総合診療部(事務:広滝)まで取りにきてください。


日時
1回目 2012年6月12日(火曜) 17:30〜18:30
2回目 2012年6月26日(火曜) 17:30〜18:30


場所  佐賀大学医学部 地域医療支援センター(正門近くの3階建)
    2階 セミナー室


対象  原則として医学生・看護学生


多数のご参加をお待ちしています!


主催:佐賀大学病院・総合診療部
共催:佐賀大学医学部 地域医療支援学講座 総合内科部門


(総合内科部門 坂西)

2012年5月13日

SGIMに参加しました


いま米国のフロリダはオーランドに来ています。
オーランドと言えば、ディズニーワールドで有名です。

が、今回はバケーションではなく、SGIM( Society of General Internal Medicine) という米国の総合内科(総合診療)学会への参加のために来ております。

今回のSGIMの学術大会では、佐賀大学病院・総合診療部と本講座で行った「大学病院・総合外来のシステムを変更したときの患者満足度の変化について」の研究を江口仁先生がポスター発表をしています。僕は共著者として参加させてもらいました。

江口先生と僕にとっては、初めてのSGIMでした。
他にも日本から多くの先生方が発表されていたり、米国に公衆衛生についての留学中の先生が最優秀発表者候補として口演されていたり、東日本大震災での医療支援活動についてのシンポジウムでPCAT(日本プライマリ・ケア連合学会の同支援プロジェクト)でお世話になった先生方やいまの南三陸を支えてられている先生や米国で家庭医として診療されている先生が参加されていていたりと、日本の熱意あふれる先生たちとも交流を深めることができました。

日本の学会ではポスター発表というと、演者が研究内容を記したポスターの前に立って5−6分で口頭発表をして質疑応答が3−5分程度というスタイルのものが多いんですが、SGIMでは1時間半ほどポスターの前にずっと演者が立っていて興味あるひとが自由に質問したり、研究内容についてツッコミを入れたりディスカッションします。
この形式については(自分が演者ではないにも関わらず)結構緊張していましたが、実際は「超〜楽しかった!」です。
もちろん僕らの会話力は十分ではないんですが、こちらが言いたいことは単語をつなげたりしてある程度伝えることができたと思います。普通の一般口演を聞くときは話のスピードが僕らには速くてわからないこともありますが、ポスターだと聞き直したり、ゆっくり話してもらえるので助かります。

 ディスカッションをすることによってお互いが刺激を受ることが、よりよい研究につながり、最終的にそれを患者さんや住民に還元することができるんだと思います。日本のポスター発表も従来のものを廃止するか、それに加えて自由にディスカッションできる時間を30分1時間くらいはあるといいと思いました。

江口先生のポスターセッションは夕方からあったので、なんと会場ではお酒も配られて非常にリラックスした、フレンドリーな雰囲気でポスター発表、ディスカッションが行われました。ディスカッションも建設的なもので(挙げ足をとったりすることなく)非常に勉強になり、かつ楽しかったです。
個人的にはちょうど米国のプライマリ・ケア医のワクチン接種に関するポスター発表があって、演者の先生にいろいろ質問できたことも大変ためになりました。

またSGIMでは、超マニアックな基礎研究の発表などはなく(僕が見た範囲でですが)あくまで臨床の現場や、公衆衛生や医療政策に関する研究が多くあり、とっても勉強になり、自分たちの今後の研究にも刺激になるいろんなアイデア、ヒントをいただきました。

海外の学会参加は初めてだったのですが、こんなに知的に楽しいとは思っておらず今までもったいことをしました。またSGIMのポスター発表内容をみると佐賀大学病院・総合診療部/地域医療支援学講座でも十分に通用することを確信しました。
来年はまたポスター発表をして、複数でSGIMに参加できればと思います。

SGIMでは多くの情熱をもった日本人、米国人の先生たちとお話ができて、明日からのパワーももらいました。

僕らの留守をカバーしてくれている佐賀の同僚のみなさんにも感謝します。

(総合内科部門 坂西雄太)