2010年8月5日

長崎在宅Dr.ネット

昨日は、「長崎在宅Dr.ネット」副理事長の白髭豊先生のお話を伺うために杉岡教授と長崎に行ってきました。
長崎大学・へき地病院再生支援・教育機構の高橋優二先生がその場をセッティングしてくださり、高橋先生も同席されました。

長崎在宅Dr.ネットは2003年に長崎市内の診療所の白髭先生を含む「情熱をもった」有志の医師たちによって自主的に立ち上げられた在宅診療のためのネットワークです。
市内の病院に入院している患者さんで在宅療養を希望されても、かかりつけの医師が対応できない場合の受け皿となるものです。

病院からネットワークに受け入れ依頼が入ると、その患者さんの住まいの地区や病状を勘案して「手上げ方式」で主治医と副主治医が決まり、訪問診療や往診が開始されます。
副主治医制をとっているのも画期的です。実際は、副主治医に診療をお願いすることはとても少ないとのことですが、24時間365日対応する医師にとっては副主治医の存在は、用事などでどうしても患者さん宅へ行けないときの「安心」になるとのことでした。このいざというときの安心感が大きいとのことでした。
ネットワークではその他にも「協力医」として皮膚科、眼科、麻酔科、緩和ケア、形成外科、婦人科など専門性が高い診療科の医師が登録していて、連携医からの医療相談を受け、必要に応じて往診を行うというバックアップ体制もあります。
また各診療所では常勤としての雇用が難しい管理栄養士をネットワークでシェアするというのも特徴です(現在は医師会に常勤している栄養士に依頼)。

長崎市内の3つのがん診療拠点病院から在宅診療へ移行した患者さんの数が2003年には数人だったのが昨年には200人を超えるなど、ネットワークを通すことにより在宅へ戻れる患者さんが格段に増え、また年を経るごとに、どんどん顔の見える関係が深まり、ネットワークを通さなくても在宅への流れがスムースになっている件数が増えているとのことでした。

医師同士、病院・診療所同士、医師とコメディカル同士が顔の見える関係を築き、「地域全体で」患者さんを支えるシステムです。

そしてネットワーク化することで各医師に過分な負担がかからないようにしていることで「継続可能な」在宅診療システムとなっていて、全国のモデルケースになっています。

このような連携は「地域力」の大きな要素だと思います。

白髭先生は、初期研修医の地域研修の受け入れもされていて、教育にも熱心に取り組まれています。
また厚労省の「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」として、長崎医師会を中心としたチームの長崎地域プロジェクトリーダーも務めておられます。

短い時間でしたが、様々なヒントと力をいただきました。
白髭先生、ありがとうございました!


ところで「竜馬伝」ブームに沸く長崎駅は、福山竜馬一色でした。
やっぱ福山、かっこいい!
白髭先生と最後に写真を撮ろうと思っていたのですが、帰りの電車の都合でバタバタして撮り忘れてましたので、幕末の志士気取り(笑)の杉岡先生と僕の写真をご覧ください。
え?僕らはいいから、福山をアップにしろって?

そこは、まあ、許してつかーさい!

(総合内科 さかにし)

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