2010年7月30日

日米間のワクチン政策対話

昨日は東京で開催された「日米間のワクチン政策対話」セミナーに参加しました。
米国大使館の主催で、米国のワクチン政策に関わる方々と日本側からの講演がありました。

米国からはそうそうたるメンバーで

米国保健社会福祉省保健次官兼国家ワクチンプログラムオフィス所長のブルース・ゲリン氏
国立アレルギー感染症研究所(NIAID)微生物感染症部門部長のキャロル・ヘイマン氏
米国食品医薬品(FDA)生物製剤評価研究センター(CBER)ワクチン研究審査室保健科学顧問兼コミュニケーション特別補佐官のモーリーン・ヘス氏
米国疾病対策予防センター(CDC)国立予防接種・呼吸器疾患センター(NVPO)副所長のメリンダ・ウォートン氏

の各氏の講演があり、米国の気合いの入れようを感じました。
講演は、時間の都合で駆け足で、米国ワクチン政策における各機関の役割など「外枠」の説明が多く、それらの仕組みは資料に当たればわかることなので、もう少し具体的な話も聞けたらと思いました。

ただ、日本のワクチンに関わる機関とは、その規模も数もはるかに多く、日本が同じレベルでワクチン政策を行うには、もっともっと予算も人材も必要だと感じました。サーベイランスなどの臨床的なデータの集積とそれらの情報発信、国民への教育なども大事です。

神戸大・岩田先生からの質問で「米国は健康保険などは国民皆保健ではないのに、なぜワクチンは国策としてお金をかけているのか」との問いに対して、「以前、米国で麻疹が流行したことをきっかけにワクチン政策を国策として扱うようになった」とのことでした(英語のやりとりだったので、正確ではないかもです・・・)。

後半は日本側から
厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長の鈴木康裕氏
たまひよコミュニケーションディレクターの蒲生真実氏
国立病院機構三重病院名誉院長の神谷齊氏

の講演がありました。

鈴木氏のお話では、まず日本のワクチン政策を世界標準に追いつかせ、その後、アップデートできるよう日本版ACIPのような機関が必要とのこと。

蒲生さんのお話では育児雑誌「ひよこクラブ」のアンケートでは、お母さんたちのワクチンなどの情報源は育児雑誌とインターネットで7割を占めるとのことで、今後の情報発信の方法を考えさせられました。また副反応について、正確な情報が必要とのコメントでした。

神谷先生は日本のワクチン政策と現状と今後について、するどいコメントをされていました。
国防・国策としてのワクチン政策を、という言葉が印象的でした。

昨年末より、国レベルでのワクチンに対する議論が深まってきています。
クリアする課題は多いのですが、国民のため、とくに子どもたちのため、なんとか良い体制を作っていかなればなりません。

僕個人ができることは、ローカルな活動しかできませんが、少しずつでもワクチンや予防医療について住民の方々にも情報発信をしていければ、と思っています。
(ちなみに、セミナーを聞くうちにウズウズしてしまい、パネルセッションでは「幌加内町におけるヒブワクチン公費全額助成と住民への広報、その接種率の高さ(7か月未満児の78%)を質問時に、質問もせずにアピールしてしまいました・・・)

細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会事務局の高畑さんも会場にいらしていて、久々にお話しできて嬉しかったです。各所で頑張っておられる方々との「繋がり」を感じながら僕も頑張りたいと思います!
(総合内科部門 さかにし)

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